現代において、日本語翻訳・英語翻訳の需要はますます高まっています。ビジネス、テクノロジー、文化、教育といったあらゆる分野で、英語は日本と世界をつなぐ不可欠な架け橋となっています。
しかし、英日翻訳は、ネイティブスピーカーであってもまたプロの翻訳者であってさえも簡単な作業ではありません。幼少期から英語に触れてきた多くの日本人でさえ、自然かつ正確に日本語から英語へ翻訳する際にさまざまな困難に直面します。それはなぜでしょうか?
本記事では、日本人が英語翻訳において直面しやすい5つの主な言語的障壁を分析します。これにより、翻訳とは単なる「言語の置き換え」ではなく、知識、スキル、そして文化的感性を必要とする高度なプロセスであることをご理解いただけるでしょう。

1. 文の構造の違い: SOV vs SVO
日本語から英語翻訳を行う際、最初に直面する明確な障壁の一つが、文の語順(語順構造)の違いです。
- 日本語:SOV構造(主語 – 目的語 – 動詞)
- 英語:SVO構造(主語 – 動詞 – 目的語)
日本語では動詞が文末に置かれるのが基本であるのに対し、英語では動詞は主語の直後に置かれるのが一般的です。この語順の違いにより、日本語から英語への翻訳においては、原文の構文をそのまま維持するのではなく、英文として自然な形に再構築(構文転換)する必要があります。
例1:
- 日本語:私はレポートを提出しました。
- 英語:I submitted the report.
例2:
- 日本語:弟は漫画を読んでいます。
- 英語:My brother is reading a manga.
英語の構造に不慣れな翻訳者は、単語を逐語的に直訳して語順を維持しようとするあまり、不自然で文法的に誤った英文を作ってしまうことがあります(いわゆる「word-to-word翻訳」)。このような誤りを防ぐためには、原文の構造をしっかり分析し、各言語に適した語順への置き換えを意識しながら、繰り返しの翻訳訓練を行うことが重要です。
2. 日本語における助詞の複雑さ
英語翻訳(英日翻訳)において、日本語の助詞の取り扱いは難解な要素の一つと言えます。日本語では、「は」「が」「を」「に」などの助詞が文中の語と語の文法的な関係を明確に示し、意味の正確な伝達に不可欠な役割を果たしています。
一方、英語にはこれに完全に対応する助詞システムが存在しないため、これらの助詞を正確に訳出するには分析力と高い翻訳スキルが求められます。
例:
日本語原文:彼は友達に本をあげました。
分析:
・「は」:主語を示す(he)
・「に」:間接目的語を示す(to his friend)
・「を」:直接目的語を示す(a book)
✅ 正訳:He gave a book to his friend.
翻訳者は、各助詞が示す文法上の役割を正確に理解し、その関係性をもとに英語の語順や構文に再構築する必要があります。特に注意すべきは、直接目的語と間接目的語の混同です。たとえば、「He gave his friend to a book」というように語順を誤ると、意味が完全に不明な英文になってしまいます。
3. 日本語における主語の省略
日本語では、文の中で主語を省略することが非常に一般的です。特に文脈から意味が明確な場合、話し手は主語を明示せずに文を完結させることがよくあります。日本人は、誰がその動作を行っているのかをあえて述べなくても、自然に会話を成立させることができます。
一方、英語ではほとんどの文において主語が必要であり、省略されることはきわめて稀です。主語がないと、英文は情報が不完全となり、意味が曖昧になったり、文法的に誤りとなったりします。
例:
日本語原文:雨が降るから、傘を持って行きます。(主語は「私」)
❌ 誤訳:Since it’s raining, bring an umbrella.
(命令形となり、「あなたが持って行ってください」という意味になる)
✅ 正訳: Since it’s raining, I’ll bring an umbrella.
日本語から英語翻訳を行う際には、文脈から主語を的確に読み取り、英語の文法に合わせて文章を再構成する必要がある。
4. 日本語の敬語
日本語は、尊敬語・謙譲語・丁寧語といった複雑な敬語体系を持つことで知られています。英語にも丁寧さやフォーマルさを表す表現はありますが、日本語のような高度な敬語体系は存在しません。
このため、日本語の敬語を英語に翻訳する際には、その丁寧さ・礼儀正しさのニュアンスを自然な英語でどう再現するかが大きな課題となります。翻訳者は、英語の中でもフォーマルな語彙や表現を慎重に選び、丁寧さを損なわないようにする必要があります。しかし、あまりにも直訳的または硬すぎる表現になると、英語として不自然になってしまうため、バランス感覚も重要です。
このような理由から、グリーンサンのプロ翻訳チームでは、正確さと自然さの両立を常に意識しながら翻訳に取り組んでいます。
例:ビジネスメールにおける敬語
日本語原文:お世話になっております。来週の会議につきまして、謹んでご確認をお願い申し上げます。
❌ 誤訳例:Thanks for your support. Please check the meeting next week.
この訳では文法的には正しいものの、「お世話になっております」や「謹んでご確認をお願い申し上げます」といった敬語の丁寧さ・格式の高さが十分に表現されていません。
✅適切な訳の提案:
Thank you for your continued support. We would be most grateful if you could kindly confirm your availability for next week’s meeting.
または、
We sincerely appreciate your continued support. Regarding the meeting scheduled for next week, we humbly request your kind confirmation.
このように、敬語を翻訳する際には、単なる直訳にとどまらず、相手に配慮した形で丁寧な表現を選ぶことが求められます。
5. 語彙と意味のニュアンス
日本語には、語や表現の意味が文脈に強く依存するものが数多く存在します。これには、会話の状況、話し手と聞き手の関係、そして日本文化の背景が深く関係しています。一方、英語は一般的に文脈への依存度が低く、より直接的な表現を好む傾向があるため、日本語の微妙なニュアンスをそのまま表現できる語彙や言い回しが存在しないこともしばしばあります。
そのため、翻訳者は文脈を丁寧に分析し、最も適切な英語表現を選択する必要があります。場合によっては、創造的な意訳や説明的翻訳によって、自然かつ正確な英文を構築する必要があります。
例1:日本企業が広告資料で企業理念を紹介する場合
日本語原文:「我が社の理念は和を大切にすることです。」
❌ 誤訳例:Our company’s philosophy is to value peace.
✅ 適切な訳の提案:Our company’s philosophy is to cherish harmony and collective unity.
「和」という言葉は、英語ではしばしば “peace(平和)” や “harmony(調和)” と訳されますが、日本文化において「和」はバランス・団結・集団精神などを意味し、社会や組織における基本的価値観とされています。この文脈では、企業が「集団の調和と一体感」の価値を重視していることを伝える必要があるため、”harmony” と “collective unity” を用いた訳が適しています。
例2:新入社員が会議で自己紹介する場面
日本語原文:「これからよろしくお願いします。」
❌ 誤訳例:Please take care of me from now on.
✅ 適切な訳の提案:I look forward to working with you all.
「よろしくお願いします」は、英語に直接的な訳語が存在しない日本語特有の挨拶表現であり、ビジネスや協力関係の開始時など、フォーマルな場面でよく使われます。上記の誤訳では「私の世話をしてください」というような失礼な意味に受け取られてしまい、ビジネスの世界では非常に不適切な表現になっています。この場合は、今後の協力関係への期待を表す「I look forward to working with you all.」といった表現が自然であり、意味も正確に伝わります。
まとめ
日本語から英語への翻訳は、語順の違いや主語の省略、助詞、敬語、語彙のニュアンスなど、言語構造や文化背景の差から多くの課題があります。自然で正確な翻訳には、言語力だけでなく、文脈や目的、文化の理解も不可欠です。これらの課題を乗り越えるには、語学力だけでなく、文脈や目的を理解する力も大切です。さらに、日々の練習と学びを重ねることで、自然で伝わる翻訳が可能になります。
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