インドネシア語は特殊な構造で非常に複雑であるため、インドネシア語を日本語に翻訳する場合、多くの翻訳者は語彙に戸惑うことでしょう。他の多くの言語と同様に、インドネシア語にも構造と発音の点で特徴があります。
インドネシア語の起源と歴史
インドネシア語の成立
インドネシア語(Bahasa Indonesia)はインドネシアの公用語です。
インドネシア語は、1945年にインドネシア独立宣言と共に正式に決定されたマレー語の標準語です。
ほとんどのインドネシア人は、この1つの言語を話すことに加えて、通常、家庭や地域社会で一般的に話されている地域の言語や方言(例えば、ミナンカバウ語、スンダ語、ジャワ語)に精通しています。正式な教育だけでなく、すべての国内メディアやその他の形式のコミュニケーションはインドネシア語を使用しています。
インドネシア語を母国語とするほとんどの人は、標準インドネシア語が日常会話で使用されることはめったにないことに同意しています。標準語は、本、日刊紙、ラジオやテレビのニュース/予報で聞いたり読んだりするときに見ますが、日常会話では、インドネシア語を母国語とする人はほとんどいません。
バハサ・インドネシア(Bahasa Indonesia)の由来
「インドネシア語」(Indonesian)の名称はバハサ・インドネシア(文字通り「インドネシアの言語」)として使われています。この用語では、話し言葉と書き言葉の英語も時々見られます。
また、英語を話す人は「バハサ」という言葉をインドネシア語と呼ぶことがありますが、この言葉は単に一般的には「言語」を意味しており、インドネシア語として特別に指定されているわけではありません。
インドネシア語の特徴
発音
インドネシア語は英語と同じくアルファベット26文字で表記しますが、特徴の一つ目は日本語と同じく書かれたとおりにローマ字読みをして発音するところです。
例えば、「この・これ」は「ini」と書き、「イニ」と発音されています。「私」という意味の「saya」は「サヤ」、「あなた」という意味の「anda」は「アンダ」と読み、「nasi」はご飯(米)のことで「ナシ」と発音します。
明らかに、インドネシア語の読みは、日本のローマ字読みのように読むことができるので、比較的楽に学べるでしょう。
インドネシア語の文法
インドネシア語には複合語、名詞の接尾辞、形容詞の接尾辞など多くの文法的特徴がありますが、この記事ではインドネシア語の文法の主な特徴のみを取り上げます。
a. インドネシア語には時制がなく、文法は単純
例①:「Saya sakit」
「私」という意味の「saya(サヤ)」に「病気」という意味の「sakit(サキ)」をつけて「Saya sakit (サヤ・サキ)」と言えば、「私は病気です」という意味になります。
これに「昨日 」という意味の「kemarin (クマリン) 」をつければ「私は昨日病気でした」ということになるので、現在形・過去形・未来形やそれに伴った言葉はありません。
例②:「pergi」
日本語の「行く」は時制によって「行った」「行くだろう」といった言い方があります。
英語でも「go」が「went」や「gone」、「going」と時制によって変化しますが、インドネシア語の「行く」「行った」「行くだろう」は全て「pergi (ぺギ)」で表します。
文法に関しても、日本語の「これは何ですか?」という言葉は、「何」という意味の「apa(アパ)」に「これ」という意味の「ini(イニ)」をつけて「Apa ini?」になり、非常に簡単です。
b.最初の子音の変化
インドネシア語は接頭辞の「me-」と「pe-」を使うことで、最初の子音を変化させることができます。ベースとなる単語の最初の音によって、接頭語で使われる音が異なることを意味します。これは音がどこで発音されているかを基準にしています。
「me-」や「pe-」の接尾辞に続く音は、通常、鼻音(m、n、ny、ng)や巻き舌(l、r)です。どの音が使われているかは、発音の箇所によって異なります。
例えば、「beli」の開始音/ b /は両唇音(上唇と下唇の両方を使用して発音した場合)なので、鼻音の/ m /がベースとなる単語の前に置かれ、「membeli」になります。
最初の子音(/ p /、/ t /、/ s /、/ k /)は、発音されない場合削除されます。
例:menulis/tulis、memilih/pilih
c.インドネシア語の複数形
複数形は重複法によって表現されますが、複数形が文脈の中で暗黙のうちに用いられる場合に限ります。つまり、「人」は「オラン(orang)」、「人々」は「オランオラン(orang-orang)」ですが、「千人」は「セリブ(seribu」)などの数字を使用しているため、複数形を付ける必要がなく、「セリブオラン(seribu orang)」になります。
ただし、例外もあります。
例えば、文脈によって「ハティ(hati)」は「心」や「生きている人」という意味になりますが、「ハティハティ(hati-hati)は「慎重に」という意味で、動詞として使われることが多いようです。
上記のように、「人」は「オラン(orang)」、「人々」は「オランオラン(orang-orang)」を意味しますが、「オランオランガン(orang-orangan)は「案山子」を意味します。
その上、重複されたすべての単語が複数形ということではなく、多くの単語は自然発生的に二重で表現されます。
例えば、「ビリビリ(biri-biri)」(羊)、「クプクプ(kupu-kupu)」(蝶)は、文脈や複数形を付ける単語によって、単数形や複数形として暗黙のうちに用いられます。
インドネシア語は文法や読み方が非常に簡単なので、習得と使用はあまり難しくないことでしょう。インドネシア語の翻訳文書の中には、この問題について言及しているものもあるので、翻訳者はインドネシア語を翻訳する際に注意が必要です。
(続く)