従来の印刷工程では、各分野の専門家がそれぞれの作業を受けもち、完全に分業化されていました。DTP作業では、それらのDTP作業をひとりでもできてしまう反面、多岐にわたる知識が必要になってきました。
DTP作業にはいろいろな分野の知識が必要
DTP作業が普及するまで、出版物などの制作工程はいろいろな分野の専門家が分業していました。依頼者は作業の指示だけで、あとは専門家に“おまかぜでよかったわけです。
DTPでは、それら各分野の専門が受けもっていた作業がパソコン上でひとりでもできてしまうようになったわけですが、そのぶん、各専門家がもっていた知識を、ある程度は身につけておく必要が出てきました。
パソコンやソフトウェアの機能がどんどん向上して、印刷工程のさまざまな作業が、ひとりで、しかも簡単にできるようになってきています。しかし、それらはただの道具にすぎません。扱う人間がその機能を使いこなすためのさまざまな知識や技術を身につける必要が出てきているのです。
DTPの世界でプロフェッショナルになるには、
- パソコン操作の知識
- データ作成の知識
- DTPシステムの知識
- 印刷の知識
- 編集と出版の知識
- レイアウトやデザインの知識
- ネットワークの知識
- など、多岐にわたる知識が必要になります。
知識や情報を手に入れるには
歴史の浅いDTP作業やパソコンの世界とは異なり、編集・出版・印刷などの知識には歴史もあり、長年に渡って蓄積されてきた常識やノウハウがあります。これらの知識をはじめから一度に習得するのは難しいですが、わかりやすく解説した本など、参考にできるものがたくさんあります。また、レイアウトやデザインに関しては、知識だけでなくデザインセンスも必要となってくるため、こちらも簡単ではありません。これらの知識や情報については、雑誌や書籍をはじめ、いろいろなメディアで入手できるので、それらを大いに利用して、自分のものにしていきましょう。
DTP作業を中心としたパソコンやソフトウェアの知識については、日々状況が変化し、技術も進歩しています。できる限り新しい情報や動向を捉らえられるように、自分のアンテナをのばして、感度をあげておく必要があります。
・解説
最近のDTP作業では、ワープロソフトで執筆した原稿やデジタルカメラで撮影した写真をEメールを介してやりとりするケースが増えてきています。また、ソフトウェアの情報やアップデートファイルのダウンロードなど、DTPの作業においてネットワークの環境やその知識は不可欠なものになってきています。
DTPに関する資格
DTPエキスパート認証試験:www.jagat.or.jp/expert/
社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)主催の資格試験。年2回実施。「DTP関連知識」、「印刷発注側知識」、「印刷工程知識」、「色の知識」、「コンピュータ関連知識」の5つのカテゴリから出題される筆記試験と14日以内に作成提出する課題作成試験がある。
DTP検定:http://www.dtpkentei.jp/
職種ごとにI種(プロフェッショナルDTP)、Ⅱ種(ディレクションDTP)、Ⅲ種(ビジネスDTP)の3分野に分かれている。全国のアールプロメトリック指定会場で受験可能で、コンピュータによる選択式試験で、発足当初実施されていた実技試験や受験資格の限定等はなくなった。
用語解説
- ソフトウェア
コンピュータを動かすためのプログラムのこと。DTPでは、グラフィックソフトやレイアウトソフトなど用いて印刷用のデータを作成する。
- レイアウト
印刷物の紙面に、文字、図版、写真などの構成要素を効果的に配置していくこと。あるいは配置されたもの。「割り付け」ともいう。
(続く)