DTP制作そして印刷業界では、PDFの存在がだんだん大きくなってきています。制作環境と出力環境の違いによる印刷のトラブルが起きないフォーマットの必要性に対応し、仕様が規格化されたのが、PDF / Xフォーマットです。
PDF / X
DTP制作のPDF / X制作したものを制作側の意図どおりに出力するには、DTPデータの制作側と出力側で、OSやアプリケーションのバージョン、使用フォントなどの環境を同じにする必要があります。これまで、制作側のさまざまな環境に対応するための数多くの問題を、出力側が、積み重ねてきた経験とノウハウでクリアしてきました。
そこで、それら問題を解消するために、レイアウトを再現できる特長を生かし、印刷用の入稿データとして必要なさまざまな条件を規格化印刷に特化したPDFのフォーマットとして誕生したのが、「PDF / X(Portable Document Format eXchange)」です。「正しい出力」を得るため、IS0基準で取り決められた規格として、印刷の現場で活用されており、今後はPDF / Xでの入稿増加する傾向にあります。
PDF / Xの作成と入稿
PDFXには、規格内容の追加により、複数のバージョンがありますが、現在最も普及しているのが、「PDF / X-1a:2001」です。アドビシステムズ社の製品である、IllustratorやInDesignのPDFへの書き出し機能を利用すれば、「PDF / X-1a:2001」などがプリセットとして用意されているため、簡単にPDF X-1a準拠したPDFを作成することができます。
直接PDF / X-1aを書き出す機能がないアプリケーションではプリント機能を利用して、いったん印刷に適したデータからPS(ポストスクリプトファイルを書き出し、Acrobat Distillerを利用してそのファイルをPDF / X-1aに変換します。
Acrobatを利用すれば、Microsoft OfficeのデータからでもPDFを作成することはできますが、カラーモードがRGBのままなので、PDF / X-1aに準拠させるために、Acrobat 8やInDesignなどを利用して、CMYKに変換する必要があります。
作成されたPDF / X-1aのファイルを入稿する場合、Acrobat(Professional 6.0以降)のプリフライト機能を利用して、データかPDF / X-1aに準拠したものになっているかを検証します。検証で問題がなければ、「検証スタンプ」を付加して証明とし、ファイルを更新して入用PDF / X-1aファイルの完成となります。
解説1
Acrobatに付属しているPDF作成用のアプリケーションが、Acrobat Distillerです。
解説2
PDF / Xは、ISO(国際標準化機構)で規格化された、国際的に統流一された規格です。
注意
「PDF / X-1aで入稿」といっても、印刷会社での面付け等の作業に支障がない設定にしなくてはいけません。そのため、事前の打ち合わせ仕様の確認)が必要になります。
用語解説
- エンベッド
埋め込むという意味。PDFにフォントを埋め込むことを「フォントのエンベッド」という。
- ISO(International Organization for Standardization)
国際標準化機構のことで、電気分野を除く工業分野の国際的な標準規格を策定するための民間の非営利団体。
- プリフライト
本来は航空機の飛行前のチェックのことを指す。DTPでは、出力前のデータのチェックのこと。