日本語環境でDTP制作を難しいものにしているのが、和文フォントの存在です。さまざま分類方法や呼び方があるうえに、使用するソフトのバージョンによって使用できるものが違ったり使用環境によって、必要な知識が変わってきます。
フォントの分類
デジタルフォントには、1バイト文字か2バイト文字かの違いや、表示方法の違いなど、さまざまな分類方法がありますDTP制作において、まずポイントになるのが表示方法の違いです。
四角いドットの集まりで構成されている「ビットマップフォント」は、モニタ表示などに用います。一方、「アウトラインフォント」は、文字の輪郭(アウトライン)が直線や曲線を表す数式で構成されており、滑らかな字形をモニタに表示したり、プリントすることができるので、モニタ画面上での作業、高解像度の出力が重要であるDTPにはかかせないものといえます。
アウトラインフォントの形式
DTP制作のアウトラインフォントは、その形式によって「TrueType」PostScript」、「OpenType」の3つの形式に分類できます。
- OpenTypeフォント
TrueTypeとPostScriptフォントの長所を併せもつ、新しいフオントの形式で、これからの標準といえるものです。OpenType対応のアプリケーションでは、従来、別のフォントなどで対応していた多くの異体字や記号類に加えて、文字の詰め情報などを利用することができますMacとWindowsで互換性もあります。
- TrueTypeフォント
アップルコンピュータ社とマイクロソフト社が共同で開発したアウトラインフォントで、Mac OSやWindowsのOS内でも利用されています。アウトライン情報を画面表示やプリント出力などに使用し美しい表示や出力を得られ、Windows環境でのDTP制作では、標準として使用されているフォント形式です。
- PostScriptフォント
MacでのDTP制作で、これまで標準として使用されてきたフォント形式です。従来の環境(ダイナミックダウンロードが利用できない環境)では、画面表示用の「スクリーンフォント」(ビットマップ)と、出力用の「プリンタフォント」(アウトライン)の組み合わせで使用します。ピットマップフォントだけでは画面表示がギザギザしているため、作業上でもきれいな画面表示が必要な場合には、同じフォントの「ATM版」をインストールして使用します。
用語解説
- スクリーンフォント
パソコン側にインストールすることによって、フォントの指定が可能になる。ビットマップフォントだけ場合、指定はできるが画面表示がギザギザになる。
- ブリンタフォント
ポストスクリブト対応でHDDを搭載したプリンタなど出力側にインストールする。レーザープリンタ用の中低解像度用とイメージセッタ用の高解像度用がある。
- モリサワNew CIDフォント
PDFへのフォントの埋め込みが可能になるなど、従来製品「CIDフォント」に改良を加えた現行の商品で、両者を区別するために名前に「New」が加えられた。
- フォントスーツケース
ビットマップフォントやTrueTypeフォントのデータをまとめて収録するフォント専用のフォルダ。OS 9以前の場合、アイコンがスーツケース())のような形。
- ATM(Adobe Type Manager)
PostScriptフォントをモニタ上でアウトライン表示させるためのコントロールパネル書類。Light版は無償。Windows XPやVista、Mac OS Xでは必要ない。
(続く)