1つのプロジェクトに複数の人が携わって作業をする場合、データのやりとりなどにはファイルサーバを利用します。また、毎日の作業のバックアップや過去の作業データの保存・管理などにもサーバは欠かせないものとなっています。
ファイルサーバの活用
複数のスタッフで分担作業する場合、データのやりとりにファイルサーバは欠かせません。Mac OSにもWindowsにもファイル共有機能があり、パソコンどうしを正しく接続・設定すれば、データのやりとりは可能です。しかし、作業に使用するバソコンとは別に、データのやりとりやデータのバックアップ用にファイルサーバを設置たほうが、効率も上がり、トラブルにも強い環境をつくることができます。
また、社内のファイルサーバをインターネット経由で、外部からもアクセスできるようにするなどの設定も可能なので、運用しだいで、作業効率を大幅にアップさせることができます。
サーバの設置設定には、専門的な知識が必要になるため、たいていは専門の技術者依頼することになりますが、小規模のものであれば、専門家ではないDTPデザイナーやオペレータが、「Mac OS X Server」や「Linux」などのOSを利用して、自ら設置することも可能です。サーバ用のOSを利用することによって、複数のユーザーがアクセスしても安定したパフォーマンスが得られ、ファイルサーバだけではなくプリントサーバ、メールサーバWebサーバなどとしても運用できます。
設定や管理ができない場合は、専門業者の運用するレンタルサーバの利用を考えてもよいでしょう。
DTPでは、サーバとPDFを使いこなすことによって、校正紙や記録メディアの移動なしに、制作から印刷会社への入稿までの工エ程を進めることもでき、より時間的・コスト的な効率アップをはかることができます。
サーバを活用した連係ソフト
サーバでの単なるデータのやりとりだけではなく、それらを連係させるソフトを利用することによって、複数のスタッフがデザイン要素やテキストを同時に扱いながらも制作物を常に最新の状態で管理することもできます。この場合、作業に携わる人すべてが、利用方法をきちんと把握していなければ、うまく運用できませんが、それをクリアすれば、「効率化」と「クオリティの維持」の両方が実現できるため、大手出版社等での導入が進んでいます。
解説1
記録メディアやハードディスクドライブなど、データを記録・保存しておけるものを「ストレージ」と呼びます。ファイルサーバなどには、大容量のストレージを利用します。
解説2
作業用マシンとは別にサーバ用のマシンを用意設定するよりも比較的簡単に導入できるのが、NAS(Network Attached Storage)です。NASとは、ネットワーク上に組み込むことができるデータ用の大容量ストレージのことで、ファイルサーバとして利用するためのいろいろな機能を備えています。
Q&A:ファイル送信サービス
Q:メールに添付できない大きなファイルを送ることはできませんか?
A:専用のサーバでのやりとりができない場合、インターネット上にある「ファイル送信サービス」や「オンラインストレージ」を利用するとよいでしょう。「ファイル送信サービス」は、無料のものが多くあり、個人のデザイナーなどがよく利用しています。一方の「オンラインストレージ」はファイルサーバのレンタルのようなものです。こちらは有料のものが多いですが、インターネット上のどこからでもアクセスできるファイルサーバが簡単に使えるというメリットは非常に大きいといえます。
用語解説
- ファイルサーバ
データファイルをやりとりするためのサーバのこと。OSの機能でも使用しているマシンをファイルサーバとして機能させることができる。
- プリントサーバ
プリントに直接つながったサーバで、各コンピュータからの印刷情報を受け取り、プリンタに引き渡す。DTPで使用するポストスクリプト対応プリンタには、ポストスクリプトの解析、つまりラスタライズをさせるしくみをプリンタ内部に持たず、プリントサーバに持たせている機種もある。
- Linux
ネットワーク上を流れるデータを他のネットワークに中継する機器のこと。インターネットへの接続に使用する場合は、ブロードバンドルータとよばれる。
- ルータ
フィンランド大学院生が開発したUnix互換のOSのこと。フリーソフトウェアとして公開され、全世界のボランティアの開発者によって改良が重ねられた。
【終わり】