DTP制作の際、データベースで管理しているデータをベージレイアウトソフトと連係させ、自動的にレイアウトを作成することを、データベースパブリッシングといいます。同じデータを活用したWebでの情報発信も含めて、今後ニーズが増える分野です。
自動組版
DTP制作でInDesignやQuarkXPressなどのページレイアウトソフトでは、テキストデータを流し込んだあとに、フォントの種類、文字の大きさ、文字詰めなどの属性を設定していきます。こうした属性をひとつのセットとして登録しておき、指定できるのが「スタイル(シート)」という機能です。
テキストデータを流し込む前に「タグ」と呼ばれる記号をつけ加えておくことによって、あらかじめ用意した「スタイル」を、流し込みと同時に適用することもできます。こうした機能を利用すると、テキストデータの準備さえ正確に行われていれば、大量のテキストデータへの属性の指定が一括で、かつ正確に行われることになります。何百ページもある書籍のテキストの流し込みなどに白動組版を利用すれば、オペレータが何日もかけて作業していたものが、「あっという間」に、それも「自動」ででき、大幅な効率化が実現します。
データベースパブリッシング
DTP制作の際、データベースで管理しているデータを定型フォーマットに自動的に流し込んでいく作業を「データベースパブリッシング」といいます。商品カタログやカラオケ本の制作、オンデマンド印刷における「バリアブル印刷」など、利用範囲は広まっています。「データベースパブリッシング」には、ページレイアウトソフトの自動組版の仕組みが活用されておりたいていの場合、特別なプログラムやプラグインで、データベースソフトとの間を橋渡しします。DTP制作のInDesignでは、「XMLデータ」と呼ばれるタグ付けされたデータを直接読み込むことができるなど、ページレイアウトソフト側でも「データベースパブリッシング」への対応が進んできています。
DTP制作でのデータベースソフトやデータベースの構築や管理の知識、橋渡しとなるソフトやプログラムの知識なども必要なため、高度な作業方法だといえますが、ひとつのコンテンツ(情報の内容)を元にいろいろなメディア(形)で発信することの重要性が高まってきている現在、効率化を図るためにも必要な技術といえるでしょう。
解説1
ページレイアウトの際、指定した部分にテキストデータを割り付けていくことを「テキストの流し込み」と呼びます。
解説2
ファイルのデータ中に埋め込む属性情報や命令のことを「タグ」と呼びますQuarkXPressでは、付属している「XPress Tags Filter」というXTensionプログラムの働きで、タグ付きのテキストの流し込むのと同時に自動的に文字や段落の指定を行うことができます。同様の作業InDesignでも行うことができます。
解説3
QuarkXPressのXTensionとは、QuarkXPress機能を追加するためのプログラムのことです。Photoshopや川lustratorでの「プラグイン」に相当します。OuarkXPressの製品バッケージに付属しているもの、サードバーティから発売されているもの、フリーウェアやシェアウェアとして配付されているものなどがあります。ニーズに合わせて独自に専用のXTensionを開発する場合もあります。
用語解説
- スタイルシート
ページレイアウトソフトで、文字の属性や段落の属性を登録しておく機能。対象となる部分に簡単にその設定を適用することができる。
- タグ
テキストデータ中に埋め込む属性情報や命令のこと。Webページをつくる際に使われるHTMLという言語でもタグを用いてレイアウトを行う。
- プラグイン
アプリケーションソフトに機能を追加するプログラムのこと。単独では機能せず、アプリケーションソフトに組み込むかたちで使用する。
- オンデマンド印刷
「必要なときに必要なだけ “印刷できる、少部数でもあまりコストがかからない印刷システム。データベースと連係してのバリアブル印刷も多い。
- データベース
蓄積された大量のデータを、コンピュータが処理しやすいように系統的に整理管理したファイルまたはファイル群。また、データ中から特定の文字や数値検索したり、数値の統計処理や分類、計算などを行うソフトウェアを加えたシステム全体を指すこともあるカード型、リレーショナル型などがある。
(続く)
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