DTP制作の際、画像の加工が終わってデータが完成したら、印刷会社に入稿する前に「画像解像度」や「カラーモード」などの状態をチェックします。最適な印刷結果が得られるよう、DTP制作の印刷物の仕様に合わせて設定しましょう。
レイアウト後の画像解像度の確認
印刷物の解像度は、その仕様によって適切な値が決まります。印刷物における画像は、インキの「網点」によって表現されるため、その網点の大きさを決定する印刷のスクリーン線数から、必要な画像解像度を計算します。
印刷必要な画像解像度(ppi)
=印刷のスクリーン線数(Ipi)×2
上記の式にあてはめると、画像をレイアウト上で実寸(拡大縮少率が100%)で使用するときは、通常の175線でのカラー印刷で必要な画像解像度は、350ppiとなります。
画像解像度を350 ppiに設定した画像をレイアウト上で拡大して使った場合には、印刷の仕上がりは粗くなります。たとえば200%でレイアウトした場合は、実質175 ppiの画像を使用しているのと同じことになります。逆に縮小して使用した場合は、仕上がり結果には差があまり現れないため無駄に容量が大きい画像を貼り付けていることになり、作業効率が落ちることになるので、必要に応じて画像をリサイズする場合もあります。
カラーモードの確認
DTP制作の際、Photoshopでは、いろいろなカラーモードで画像を扱うことができます。通常、線画などは白か黒のピクセルで表現する「モノクロ2階調」、写真画像などの白黒画像は白から黒までのグラデーションで表現する「グレースケール」、カラー画像は「RGBモード」か「CMYKモード」で扱います。
モノクロ2値の画像の場合、データの容量はとても小さくなりますが、輪郭がはっきりているので、きれいな印刷結果を得るためには、1,200 ppi以上の解像度が必要になります。
1色刷りの印刷では、グレースケール画像を使用します。グレースケール画像は256段階のひとつの色の濃淡の情報で成り立っているため、CMYKカラーの画像の約1/4のデータ容量になります。4色印刷で使用するカラー画像は、CMYKモードにする必要があります。
しかし、DTPの作業では、CMYKモードに比べ色の再現範囲が広い、Photoshopのフィルタをすべて適用できるなどの利点から、RGBモードで作業し、入稿時にCMYKモードに変換する場合も多くあります。CMYKモードは、4つの色の要素(チャンネル)に分けているため、同じ大きさ解像度のグレースケール画像と比べ、データ容量は約4倍になります。
解説1
DTPでの印刷では、インキは網点(ドット)の状態で紙などにつき、その大きさで色の濃淡を表現します。256階調(256段階の濃淡)を表現する場合は、最低16×16ピクセルの組み合わせで網点をつくる必要があります。2,400 dpiの出力解像度のイメージセッタでは、2,400 dpi + 16 = 150線で256階調の表現が可能ということになります。175線で256階調の表現が必要な場合は、2,800 dpi以上の出力が可能なイメージセッタが必要ということになります。
解説2
画像の解像度が必要以上に大きい場合、レイアウト後に画像を使用する縮小率が確定した時点で、解像度を最適な大きさ(実寸で350 ppi)になるようにつくり変えたほうが、プリントアワトやデータコピーの時間が少なくすむため、作業効率が上がります。この作業のことを「リザイズ」と呼ぶことがあります。
解説3
モノクロ2階調のことを「モノクロ2値」ということもあります。
用語解説
- 網点
オフセット印刷などで連続階調を表現するためのイン点のこと。この点の大きさを変えることによって濃淡を表現する。
- スクリーン線数(印刷線数)
網点の細かさを表す単位。1インチ内に最小の網点がいくつ並ぶかを表す。単位Ipi(line per Inch)で、数値が大きいほど網点が小さく、きめ細かい。
- ppi
画像の解像度を表す単位。pixel per Inchの略で1インチ内にいくつのビクセルが並んでいるかを表す。数値が大きいほど、構成する1ピクセルが小さい。
- RGBモード
光の三原色のRed(赤)、Green(緑)、Blueviolet(青紫)の要素(チャンネル)でカラー画像が構成されている状態のこと。
- CMYKモード
カラー印刷でのプロセスインクC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)K(ブラック)の要素(チャンネル)でカラー画像が構成されている状態のこと。
(続く)
続き読む:
第4章・バート7: ファイル形式とさまざまな画像ソースの活用
第4章・バート9: ベクトル画像のしくみIllustratorの活用「1」