日本語からベトナム語へ翻訳することは翻訳者にとって語彙力と翻訳スキルを磨く機会となります。翻訳者は翻訳の経験を積みながら、自分の日本語能力も高めることができます。
前章で考えたチェック作業におけるタイプミス、綴り、数字、文字、訳漏れなどの注意点に加えて、用いられている表現が適切かどうかを確認することも欠かせないステップです。
5.適切な表現
日本語からベトナム語へ翻訳する際、正しく翻訳しながら、文章を簡潔で理解しやすい内容にすることは翻訳者にとってかなり難しいことです。では、チェッカーは表現が適切かどうかをどうやって確認することができるのでしょうか?
まず、適切な表現を選択するために、対象読者を見極める必要があります。例えば、日本語からベトナム語への翻訳原稿を会社の会議や組織などで使用する場合、文章の中で丁寧な表現を用いる必要があります。
敬語表:
敬語 | |
います | いらっしゃいます おいでになります
|
行きます | |
来ます | |
言います | おっしゃいます |
します | なさいます |
知っています | ご存じです |
食べます | 召し上がります |
飲みます | |
見ます | ご覧になります |
また、日本語には謙譲語もあるため、文の意味が誤解されないように注意する必要があります。
次に、機械や電子機器などマニュアルの場合、文章を簡潔にしながら内容の正確さを保つことが重要です。
例:
Chương trình →Ch.trình
Trình duyệt →Tr.duyệt
Nhấn nút xanh để tắt → Nh.nút xanh để tắt
最後に、広告や旅行に関する文章の場合、簡潔にするために地名はイニシャルで書くこともできます。
例:
Thành phố Hồ Chí Minh → TP.HCM
Hà Nội → HN
また、日本語からベトナム語へ翻訳する際、文章のスタイルと表現を適切に用いることによって、対象読者にサービス・製品の関心を高めることもできます。
対象読者が子供の場合、難しい言葉を使わず文章をできる限り分かりやすくすることは最も重要です。訳語と表現の難しさに関するレベルは対象読者の年齢に応じて調整が必要なため、翻訳作業を開始する前に対象読者の年齢を確認する必要があります。
適切な表現を用いることは確かに難しいことですが、できないわけではありません。対象読者を確認し、原文の全体の意味を把握してから、適切な表現を選択することがベストでしょう。
(続く)
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