DTP制作でパソコンの中のデータを持ち運びできる状態で記録。保存しておくためには、各種「記録メディア」が必要です。また、DTP制作ではプリントアウトやデータのやりとりのためにネットワークの知識も必須となります。
記録メディアとドライブ
パソコンで作成したデータは、ずっとパソコンのハードディスクに入れっぱなしではありません。印刷会社に入稿したり、バックアップをとったりと、移動させる必要があります。そのときに使うのが「記録メディア」です「MOディスク」、「CD R」や「DVD-R」などさまざまな種類あり、それらにデータを書き込んで持ち運びします。記録メディアの内容を読み書きする装置のことを「ドライブ」と呼び、はじめからパソコンに内蔵されているタイプ、必要に応じて追加する「外付け」タイプがあります。
DTP制作の業界では、以前よりMOディスクが多く使われており、現在では、USB2.0かFireWire接続で640MBを読み書きできるドライブが主流です。また、未使用のメディアにデータを書き込むことで、多くのマシンに標準で搭載されているCD-ROMドライブで読むことができるCD-Rや大容量のDVD Rも普及しています。これらはMOディスクと違い、一度書き込んだデータは消去や変更ができないため、データのバックアップにも最適です。
ネットワーク
複数での作業が多く、データのやりとりも多いDTPの現場では、ネットワークの設備が必須です。個人でのDTP制作においても、プリンタとパソコン本体との接続やインターネットへの接続などに、ネットワークの知識はかかせません。
現在、オフィス内のLANの構築には、「Ethernet」という規格がイーサネット使われていて、最近のパソコンのほとんどがEthernet端子を搭しています。Ethernetでのネットワークの構築には、集配装置にあたる「HUB」を利用し、各パソコンやプリンタからHUBまでをEthernetケーブルで接続します。最近は、このケーブル部ハプ分を無線化した、「無線LAN」も多く利用されています。
以前は電話回線とモデムを使用していたインターネットへの接続も、光回線やCATVなどを利用した高速なものへと移行しています。Ethernetを使ったネットワークは、インターネットへも同じEthernet経由で接続できるため、DTP制作におけるインターネットの利用度もますます高まり、インターネット経由でのデータ入稿なども広まってきています。
解説1
レコードとレコードプレーヤー、CDとCDプレーヤー、MDとMDレコーダーというように音楽関連のメディアを再生録音する装置はプレーヤー、レコーダーといいますが、コンピュータ関連のメディアを再生・記録する装置はMOドライブ、CD-ROMドライブといったように「ドライブ」と呼びます。
解説2
CD-Rの “R”はRecordableの略で、一度だけ書き込めることを表しています。書き込んだあとはCD-ROMと同じく読み取り専用になります。ほかにCD-RWというメディアがありますが、RWはReWritable、つまり何度もデータの書き込み消去ができるメディアです。どちらも容量は640MBや700MBなどです。さらに4.7GBという大容量の「DVD-R」、「DVD-RW」、「DVD RAM」などのメディアもあり、こちらはコンピュータだけではなく、ビデオテープに代わる映像用のメディアとしても利用されています。
注意
Macでは、iMac以前のマシンには必ず搭載されていたFD(フロッピーディスク)ドライブですが、1.4MBしか容量がないため、需要はだんたん減ってきました。DTP作業では、テキストデータなどをFDで受け取る場合(これも現在では電子メールのほうが主流)、プロテクトのかかったフォントをインストールする場合などに必要です。フォントのインストールについては、フォントメーカーが動作を保証している下ライブを購入しないと、うまくインストールできない場合もあります。
豆知識
CD-RやDVD Rにデータを「書き込む」ことを「焼く」という場合もあります。
用語解説
- 入稿
出版社などから印刷会社に原稿が渡されること。著者から出版社などに原稿が渡されることも入稿という。DTPの作業では「データ入稿」という場合が多い。
- バックアップ
データを保管用にコピーしておくこと。元のデータが何らかの原因で壊れたり、誤操作によって消去された場合の控え。
- CD-ROM
Compact Disc Read Only Memoryの略。読み出し専用のCDのこと。プレスによる大量生産が可能。ソフトウェアなどはCD-ROMに収録されて販売される。
- iMac
1998年にアッブルコンビュータ社から発売された。新しいコンセプトのCRTモニター体型Mac。現在のラインナップは、液晶モニタと本体が一体化したもの。
- CATV
ケーブルテレビのこと。ケーブルテレビの回線を利用して、高速インターネットの利用ができる。
- LAN
Local Area Networkの略。屋内などの比較的狭い範囲にある複数のコンピュータやプリンタなどを接続して構築するネットワークのこと。
(続く)