DTP制作では、印刷工程に入る前にプリントアウトして内容を確認・修正するため、プリンタは必須アイテムです。ポストスクリプト対応のレーザープリンタがDTP制作の業界では標準といえるでしょう。
プリンタの種類
DTP制作でプリンタは印字方式の違いから、「インクジェットプリンタ」と「レーザープリンタ」に大別できます。一般的に家庭用として普及している機種は安価なインクジェットプリンタで、最近では写真がたいへんきれいに印刷できる機種が増えてきました。
一方、高速で高精細なプリント結果が得られるレーザープリンタは、オフィスやDTPの現場で多く利用されています。本体や消耗品の価格もインクジェットプリンタに比べると高くなります。
ロール紙を使い、大判のポスターなどを印刷できるタイプの「大型プリンタ」は、ほとんどがインクジェット方式です。小ロットのポスターの製作、面付けした校正刷りやプレゼンテーション用素材の印刷などに使用されます。また、建築関係の製図などを出力する「プロッタ」と呼ばれるタイププリンタもあります。
ポストスクリプト対応レーザープリンタ
DTP制作で制作したデータは、最終的には印刷物になります。このため、作業途中での確認には、必ず印刷機と同様の方式で出カしたものを使用します。つまり、最終工程の印刷と同じ、ボストスクリプトの技術を利用できるプリンタでプリントした校正ゲラで確認し、入稿時には出力見本とします。
Mac OS 9などのDTP制作普及当時の環境では、ポストスクリプト対応のレーザープリンタに、使用する和文のプリンタフォントを購入、インストールして使用します。この和文のプリンタフォントの購入に費用がかなりかかることになります。
最近の環境では、「ダイナミックダウンロード」に対応したソフトウェアとそれに対応したフォントの使用によって、パソコン側からプリンタにフォントの情報をダウンロードできるようになり、和文プリンタフォントがインストールされていなくても高品質の出力を得られるようになりました。そのため和文プリンタフォントの購入の必要がなくなり、ポストスクリプト対応プリンタのみで事足ります。また、高価なポストスクリプト対応プリンタがなくても、使用環境によっては、フォントを埋め込んだPDFを作成することもでき、レイアウトをくずさずに出力することもできるので、導入の際には十分に検討しましょう。
解説
インクジェットプリンタは、電圧空気、熱などによって小さいインクの粒子ノズルから噴射して印刷します。インクカートリッジは数百円から数千円と一般向けで、最近の機種ではかなりの高精細な出力結果が得られます一方、レーザープリンタは、レーザー光でドラムに印宇部分を帯電させ、トナーを付着させて紙に転写します。静電気の強弱によってトナーの量が変わるため、それによって濃淡を表現することができます。解像度が高く、高速出力が可能で、大量に出力するオフィスワークやDTP作業向きです。ただし、消耗品であるトナーやドラムも数千円から数万円と高価です。
Q&A :ダイナミックダウンロード
Q: ダイナミックダウンロードに対応た環境って?
A: 下記の対応ソフトウェアとフォント、そしてボストスクリプト3対応のプリンタが必要になります。
- 対応しているソフトウェア
Adobe InDesign 2.0以降
Adobe Illustrator 9以降
Adobe Acrobat 5以降
QuarkXPress 6.5以降
- 対応しているフォント形式
OpenTypeフォント
TrueTypeフォント
CIDフォント
用語解説
- ポストスクリプト(PostScript)
1984年、アメリカのアドビシステムズ社が発表したページ記述言語。以降、DTPで使用されるPDLの事実上の標準となっている。
- 和文フォント
日本語組版で使用されるデジタルフォント。日本語欧文と違って、ひらがな、カタカナ、漢字などがあり文字種が非常に多い。
- RIP(リップ)
Raster Image Processorの略。ポストスクリプトデータを受け取り、出力するプリンタに最適な解像度にラスタライズするハードウェアやソフトウェアのこと。
- インストール
ソフトウェア(アプリケーションソフトやドライバをパソコンなどのハードディスクにコピーして、使えるようにすること。
- OpenTypeフォント
アドビシステムズ社とマイクロソフト社によって開発されたフォントフォーマット。MacとWindowsで互換がとれ、フォントデータがコンパクトになった。
Portable Document Format略。アドビシステムズ社が開発した電子文書の形式。OS、アプリケーションなどの環境が違っていても文書のやりとりが可能。
(続く)