日本語からベトナム語へ翻訳する際、文章を磨くことは非常に重要ですが、単語の繰り返しや不適切な単語の使用などの誤りを回避するためには、内容にふさわしい表現も慎重に選ばなければなりません。
「第16章:ベトナム語翻訳の上訳のスキル・パート1」の「一般的な言葉を用いるスキル」以外に、原文の内容を正しく伝えながら文章を磨くこともできる語彙を用いるスキルも必要です。
3.受動文を使いすぎない
日本語からベトナム語へ翻訳する際、直訳しすぎることにより、文章の表現が不自然になることがあります。したがって、その場合文章を自然にするため、内容を変えずに文の形を変える必要があります。
強調するために受動文がよく用いられますが、「によって行われます」や「によって確立されます」などの受動文が多すぎると、文が不自然で理解しにくくなります。
例1:
私は友達に引越しの手伝いを頼まれました。
- 分析:上記の文は直訳すると「tôi được bạn tôi nhờ giúp việc chuyển nhà.」になります。意味的に間違いはありませんが、文が硬くなります。
- この場合、文を柔らかくするため受動文を能動文に変更した方がベストです。
- Bạn tôi đã nhờ tôi giúp việc chuyển nhà.
例2:
アメリカはコロンバスによって発見されました。
- 分析:「発見されました」は受身形となります。直訳すると「Châu Mỹ được phát hiện bởi Colombo.」になります。修正後:「Châu Mỹ do Columbus phát hiện ra.」
しかし、いつも受動文を能動文に変更した方が良いとは限りません。原文が事物や機械などの破損または損傷の状態を表す場合、受動文のままにした方がベストです。
例3:
携帯電話は壊されました。
🡪 Điện thoại của tôi bị hư rồi.
主語を協調する文は能動文に変更しません。
例4:
ABC会社は2006年に設立されました。
🡪 Công ty ABC được thành lập vào năm 2006.
4.「感じる」の翻訳方法
日本語からベトナム語へ翻訳する際、「感じる」という動詞に出会うことがよくあります。この動詞は場合によって訳語が異なります。
a. 直訳する
「感じる」:cảm thấy
例5:
あなたが誰かに劣等感を感じる理由はないのです。
- Không có lý do gì để bạn cảm thấy mình thấp kém hơn bất kì ai.
例6:
いなかに行くと前より健康になったように感じる。
- Khi đi đến vùng nông thôn, tôi cảm thấy khỏe mạnh hơn trước.
b. 原文のニュアンスに従って翻訳する
例7:
There is no need to feel shy about speaking in second language.
→Không cần phải cảm thấy ngại khi nói bằng ngôn ngữ thứ hai.
- 分析:上記の例は、話者の感情も説明していますが、「cảm thấy ngại」は少し不自然です。「cảm thấy」を省略して修正:
- Không cần phải ngại khi nói bằng ngôn ngữ thứ hai.
c. 「dường như」、「có vẻ」を用いる
「感じる」は必ずしも「cảm nhận」に翻訳するとは限らず、「dường như」、「có vẻ」などの訳語も用いられます。これにより、文がより自然となり、単語の繰り返しも避けることができます。
また、「dường như」は、日本語では「ように感じる」のセットとなります。
例8:
彼らの考えは私たちには全く異質のものであるように感じられる。
- Suy nghĩ của họ dường như hoàn toàn khác biệt với chúng tôi.
下訳と上訳の後、翻訳原稿の品質を向上させるために様々なスキルを活用する必要があります。単に正しく翻訳するだけでなく、読者にわかりやすく、文脈に応じて適切な単語と自然な表現を考える必要がります。
(続く)