DTP制作に携わる人に、ぜひ行っていただきたいのが「印刷工場の見学」です。もちろん、誰でも行けるというわけではありませんが、仕事上関わりのある印刷会社があれば、依頼してみましょう。
DTP制作で百聞は一見にしかず
データ入稿後、印刷物が納品されるまでの工程は、データのDTP作成者にとって目に見えない作業です。トンボをつけたり、塗り足しをしたり。「決まりだから「指示されたから」とやっていることも、印刷工場での実際の作業を見ると、「なるほど!」と納得できてちょっとスッキリした気分になります。
私も「データではきちんとつくっているのに、どうしてツメの部分がこんなにギザギザと不揃いになるんだろう…」とか、「なぜ3mmも切り落とされる部分が必要なの?」など疑問をもったまま作業をしていました。もちろん、印刷関連の本などで理屈では理解していたつもりですが、いまいち納得していなかったわけです。
そして、印刷所の見学に行った私は、この目で現場を確認し、「これだとズレるのも当然でしょ」、「逆にこれだけしかズレないというのはすごいことかもしれない……」と簡単に納得してしまいました。
DTP制作の印刷は機械による大量生産
結論からいえば、見学によって「印刷は機械による大量生産なんだ」ということを思い知らされたわけです。
どこからどこまでがひとつなのかよくわからないくらいの大きな機械、山積みになった大きなロール紙、それにほとんど鳴りやまない大きな機械音。バソコンの前に固まって、ひと文字単位の修正をやっているのとはスケールが全然違うわけで、「あんなにすごいスピードでCMYKの4回も重ねて印刷してよくズレないもんだ!」と感動までしてしまう始末。
製本や断裁の工程でも、ものすごいスピードで私たちの見慣れたかたちに加工されていく本を目で必死で追いながら、「スゴイ!スゴイ!」、「こんな勢いで断裁するんだから、やっぱり3 mmは必要だなあ。3mm以内しかズレないなんて、すごいかも…」と、すっかり洗脳されてしまうわけです。
それに加えて、それぞれの分野に専門のオペレーターさんがいて、受けもつ部分の仕事を黙々とこなしている……。とくに受け取ったあらゆるデータをちゃんと面付けした製版フィルム(または刷版)に出力する担当の方は、いろいろご苦労されていることだと思いました。いつも完壁なデータだけが入稿されてくるわけではないはずですし。私も過去幾度となく助けていただいているに違いない……
というわけで、キャンスがあれば皆さんもぜひ印刷工場の見学に行ってみてください。
(続く)