CTPは、製版フィルムを出力せずにDTPデータから直接、刷版を出力カする方法です。工期の短縮やコストの削減などのメリットがある反面、製版フィルムがないことによるデメリットもありますが、最近ではかなり普及してきました。
CTP導入のメリット
「CTP」とはComputer To Plateの略です。従来、DTPデータからイメージセッタで製版フィルムを出力し、そのフィルムから刷版に焼き付けを行っていた工程から、製版フィルムの出力工程を省き、DTPデータ(=Computer)から直接、別版(= Plate)を出力する方法のことを指します。製版フィルムの出力工程が不要になることで、コストと時間が削減できるという大きなメリットがあります。
さらに、フィルムから焼き付ける刷版と違い、データから直接刷版に高解像度で出力します。そのため、製版フィルムからの焼き付けの加減によっては再現できなかったような、小さなドットなどの再現が可能になり、より精密な印刷結果が得られるという品質の面でのメリットもあります。
CTPのデメリットとDDCP校正
CTPでは、製版フィルムを出力しないことによるデメリットもいくつかあります。
従来の工程では、最終の校正後、その修正を終えた最終段階の製版フィルムから刷版を作成して印刷します。その最終段階の製版フィルムは出版社や印刷会社で保管し、重版(刷り増し)時に再利用したり、一部のフィルムを別の印刷物へ流用して活用してきました。CTPでの工程では印刷に使用した刷版は保管できないため、「フィルムの流用」が実質不可能になります。
また、フィルムから直接作成できる簡易色校正を利用することもできなくなるので、刷版を出力カする前に仕上がりを確認するためには、「DDCP(Direct Digital Color Proofer)」という色校正専用出力機で出力したものを使用することになります。
DDCPは、実際の印刷物とほぼ同じ網点の表現が可能で、カラーインキでの印刷に近い調整機能をもった出力機です。DDCPのシステムや出力代は高価ですが、従来のように刷版からの校正刷りの工程を修正のたびに繰り返すよりは、効率がよいといえます。ただし、DDCPでは、実際に印刷する用紙への出力(=本紙校正)ができない場合がほとんどなので、最終的な出力結果の確認には、ある程度の経験が必要となります。
解説
印刷用の網点を作成する方法には、網点の大きさを変えて画像の濃淡を表現する「AMスクリーニング」と、納点のサイズを一定にして網点の密度で濃淡を表現する「FMスクリーニング」があります。FMスクリーニングを用いる場合は、繊細な印刷結果が得られるという特徴から、CTPを利用することが多くなります。
AMスクリーニング
・ドットが集まってつくられたアミ点の大小で濃淡を表現
・モアレが生じる
・細かい模様や落い色の表現に難がある
FMスクリーニング
・ドットの詰まり具合で濃淡を表現
・モアレが生じない
・細かい模様や薄い色の再現性が高い
解説
刷版は印刷方式や印刷機の種類によって仕様が異なるため、それらが決定してから出力しないと、刷版出力後ではほとんど変更に対応できません。変更や修正が発生した場合は再出力となってしまい、かえってコストがかかってしまう場合もあります。
用語解説
- 製版フィルム
印刷の現場で使われている銀塩を使用した感光性のフィルムのこと。現像すると黒と透明のモノトーンになる。ポジとネガがある。刷版印刷物を刷るための版。印刷版。通常、製版フィルムからアルミなどの金属の薄い板に、インキの乗る部分を焼きつけて作成する。
- 色校正
多色刷りの印刷物の作成時に、チェック用に実際の色紙)に刷る場合とそうでない場合がある。のインキで刷る校正刷りのこと。本紙(実際に使う用
- スクリーニング
印刷用製版フィルムに網点を生成すること。現在ではコンピュータ処理で網点を生成しているが、以前はスクリーンを感光フィルムの前に置いて生成していた。
- 網点
オフセット印刷などで階調を表現するのに使われるインキの大きさの異なった点のこと。人の目には大きいものが濃く、小さいものが淡く見える。ハーフトーン。
- 本紙校正
本刷りで使用するのと同じ用紙に刷る校正のこと。用紙によって、インキのノリや発色が違ってくるため、他の用紙で刷るよりも仕上がりを確認しやすい。
(続く)